5月30日ふじのくに防災フェロー養成講座「災害社会学」-科目受講生/フェロー9期修了生-
5月30日にふじのくに防災フェロー講義「災害社会学」が行われた。
担当教員は、矢守克也客員教授で、受講生4名(10期生)、修了生1名(9期生)が参加した。昨年受講し、「正しく恐れる」「素振り」「セカンドベスト」「情報と行動の橋渡し」「敵を知り、己を知る」「最後だとわかっていたら」等の印象的なキーワードは私にとって、日常と非日常(災害時)を考えさせられる有意義な1日であった。今年は、Zoomによるオンライン講義で実施されたが、リアル講義と遜色なく多くの気づきを生むことができた。
授業概要
第1テーマ:津波避難訓練
行政から災害に関する次々に発信される情報、特に避難情報については、情報の意味が十分に理解されず、必要な人に届いて活用・行動されるまでに至っていないことが多い。これは情報が足りない、粗いためではなく、情報がありすぎること、細かすぎることで、かえって関心が薄れ、あきらめ逃げない状況を生み出していることがわかった。
住民が情報待ちから主体的に考え、自ら行動したくなる環境を整える必要がある。
講義で紹介されたように同じ中身を繰り返している避難訓練でなく、自身がトライ&エラー(素振り)して考え判断する逃避訓練支援アプリ「逃げトレ」の活用や地域の子供たちと高齢者が寄り添った避難訓練(子供は得意のスマホを活用し、お年寄りは、過去の災害経験を伝える)のような、現地での愚直な活動を継続し根付かせることで、「高知県黒潮町の秋澤香代子さんの短歌」のように意識が変化しリスク低減できることが分かった。
第2テーマ:風水害における逃避
「いつ」逃げる、難を避けるために、普段と異なる身近な異変に気づくため目で見て確認できる避難スイッチを決め、情報と行動の橋渡しが重要であることを再確認できた。
「どこへ」逃げる、難を避けるために絶対安全(100点満点)だけど行政が指定する遠い場所の避難場所に逃げるだけでなく、住民が決めた近隣の3階建て住宅や2階への屋内避難など「セカンドベスト」(60点)を見つける必要がある。今後は、避難所の3密を防ぐために分散避難も含め「セカンドベスト」の重要性か増すと考える。
第3テーマ:ディズ・ビフォーとディズ・アフター
「大切なもの」の多くは、それがあたりまえの日常から消えて初めて「大切なもの」だったとわかる。しかし、それでは遅く、災害によってそれらが奪われる前に、しっかり見つめ直し、ありがたさにもう一度目を向け、再確認することが災害への備えの原点になる。
このことは、現在のコロナ禍での過ごし方はもちろん、企業における労働災害(裂傷を負った作業者⇒充実した表情でものづくりする作業者)や環境保全活動(汚染された水質・大気状況⇒地域の自然豊かな川・湖・海・森・里の状況)、SDGs活動にも当てはまり、日常の大切な守りたいものを「見える化」することで、気づきを生み再確認することが災害への備えの原点になると思う。今回の講義で学んだことを企業における業務で展開していきたい。
Zoomによるリアルタイムオンライン講義状況
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