5月19日ふじのくに防災フェロー「コミュニケーション論」-科目受講生記事/フェロー6期修了生-
5月19日 防災に欠かせない「コミュニケーション」とは?
6名の受講生が参加した関谷直也客員准教授による防災フェロー要請講座「コミュニケーション論」。今年度、初めて開講された講座で、コミュニケーションとは何か、災害とコミュニケーションに関連する用語、そしてメディアの影響、さらにメディアの活用について学びました。
災害時におけるコミュニケーションとは?
カルガモは愛護の対象なのにカラスはなぜ害獣として扱われるのか?という一見、災害や防災とは関連のなさそうな話題から講座がスタート。シロクマは保護され、野生の熊は駆除されるのはなぜ?当たり前だと思っていて深く考えたことのないテーマに、受講生も頭を悩ませながらも、そこにはステレオタイプが作用しているという説明を聞き納得しているようでした。そこから、メディアは取り上げるテーマにおいてアイコンとなるもの、象徴的なもの、また具体的な事象を扱うため、そのステレオタイプが強化されているという説明がありました。
さらに言葉の定義を考える授業が続き、災害とコミュニケーションに関連する用語についての説明がありました。サイエンスコミュニケーションとリスクコミュニケーション、アウトリーチの違いは?という問いに静まる受講生たち。しかしそれぞれの用語の概念を使い分けることで、理学・工学的に学んだことを、社会科学的に避難行動などの防災につなげることができることを学びました。
メディアが与えた影響とメディア活用
次に、時代に沿ってその頃に提唱されていた様々な理論について学びました。時代によって「マスメディア自体が強い影響力を持つ」と考えられたり「マスメディアは人を媒介して影響力を及ぼす」、「マスメディアは元々、人が持っている考えを補強するもの」と考えられたりしていて、メディアの捉え方の変遷が見えてとても興味深い講義内容でした。
そして災害によって起きた(起きている)技術革新の説明があり、戦争や震災のような強烈な社会的ニーズが技術革新をもたらすとのことでした。また東日本大震災でソーシャルメディアの活用が話題となりましたが、ある部分では効果を発揮したものの、中には過大評価されている部分もあり、当たり前だけれど一律にソーシャルメディアを是とするでも非とするでもなく、ここでは効果がありここでは使えなかったと適正に捉えなくてはいけないなと感じました。
↑様々な理論が紹介され先人たちの研究の積み重ねがいかに重要かを痛感
↑ソーシャルメディアの可能性と限界 さらなる技術革新は起きるのだろうか
災害コミュニケーションの可能性
多くの研究分野からアプローチできる「防災」だからこそコミュニケーションがそれらを有機的につなぐことが大切だと感じました。私はマスメディアに勤めていますが、専門性の高い調査や研究について取り上げる際に一般の方にも伝わるよう説明することにいつも苦慮していました。内容を単純化しすぎると誤解を招くし細かく説明すると伝えたいことが伝わらない…。そういった悩みを解消するヒントがコミュニケーション論にはあるのではと感じたので、今後も勉強を続けていきます。
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