東海四県三市および国立四大学連携防災シンポジウムの報告
5月12日に「東海四県三市および国立四大学連携防災シンポジウム」が実施されました。
↑第二部のパネルディスカッションではパネリストに静岡大学防災総合センターの牛山素行准教授が登壇しました。
まず、6名のパネリストがそれぞれの専門について15分ずつ講演されました。
会場との質疑応答し、続いて「地域防災に対して大学は何ができるか。どう貢献できるか。」というテーマで議論しました。
牛山准教授は「地域防災を考える上で重要なこと」について講演しました。
まとめスライドはこちら
下記は内容のメモです。
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●地域を知ることが大変重要
・陸前高田市今泉地区の、浸水想定区域外にも関わらず津波が到達した気仙小学校の避難の事例や普段からの津波避難訓練が功を奏した気仙中学校について紹介。
・防災には災害事象<誘因>の理解だけでなく、その土地の持っている特性<素因>を理解するのが大切。
・素因を知る
-「思いもよらないところで災害がおこった」などということはまずない
-「いつどこで災害が起こる」の予測は難しいが
-「ここではこんな災害が起こりうる」(素因)はある程度わかるようになっている<ハザードマップなどの資料を活用>
●どのように災害が発生しているのかを客観的に知ることが重要
・2004〜2011年の豪雨災害被害分析の結果「逃げ遅れて自宅で遭難」より「屋外で遭難」の方が多いことが分かった。
ただし、土砂災害については屋内で遭難する人が多く、避難行動が有効だと考えられる。
・2011年台風12号ではあったが、河川洪水により家屋流失により遭難、という豪雨災害で一般的にイメージされる遭難のパターンは近年は少ない。
むしろ、移動中に洪水流に流されて遭難が多い。
・災害の遭難についてイメージではなく、実態を知ることが大切。
●「避難」を画一的にとらえない
・避難にはいろいろある。
危険が身に迫った「命を守るための避難」
家に住めなくなった「仮住まいするための避難」
・報道等でもよく伝えられる、学校等の指定避難所にいくという避難は後者。
前者は、屋根もあり生活できるような指定避難場所に移動するのが最善とは限らない。
両者を混合しないようにしないといけない。
・最適な避難行動は災害事象によって違う。
地震・津波・豪雨とそれぞれにわけて考えて対応することを提案。
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